永田式英語の指導日記(1)

今月から某進学校理数科の生徒さんの指導を引き継いでいるのでその様子をレポートします。

指導内容は数学、物理の予定でしたが、永田式英語のリクエストがあったのでさっそく指導をしました。向学館の授業で永田式英語を指導するのは初めてです。

まずは永田式英語の説明

「英語はとにかく前から読む。」ネイティブは文法を意識して読み書きしているわけではなく、イメージを変化させているだけなので、英語は簡単な方法で読めるようになります。脳の仕組み、ワーキングメモリとの関係を交えながら説明をしました。

理数系コースの生徒さんなので、説明に対する理解が非常に速く、事の重大性に気づくのがとても速かったです。文系の生徒さんよりも理系の生徒さんの方が飲み込みは速いかもしれません。

中学、高校と今までやってきた勉強法は、いかに無駄が多く、やってはいけない勉強法なのかを理解してもらうことができました。

関係詞の説明

永田式英語の神髄は、関係詞にあります。学校で習うと、関係詞は難しく、覚えなければいけないことがたくさんあり、脱落する人が多くいますが、永田式英語ならば10分ほどの説明で終わりです。

ネイティブは関係代名詞を多用します。それは、関係代名詞が理論的にキッチリしていて、カッコイイからではなく、「簡単・便利・分かりやすい」からです。彼らは、ただ、イメージを付け加えるために、英単語を並べているだけです。説明を加える時のサインとして関係代名詞を置いているだけなのです。

「簡単・便利・分かりやすい」関係詞を難解なものにしているのは日本人だけです。ネイティブと同じ方法で読んでいけば「簡単・便利・分かりやすい」まま読むことができます。

単語の覚え方の説明

いつも通り、記憶のメカニズムを「メモ帳(暗記)」と「ノート(記憶)」に例えて説明しました。「何故多くの人が、単語を覚えられないのか」の理由を詳しく説明し、正しい単語の覚え方を指導しました。どの生徒さんも、「1時間に10個しか単語を覚えることができない」という事実を知った時に大きなショックを受けます。体感では20~40くらい(人によっては100個)なので、どの生徒さんもそのギャップに驚きます。そのギャップが、英単語が覚えられない一番の原因です。ついでにエビングハウスの記憶理論の説明もしておきました。

最初から、1時間に10個しか英単語を覚えることができないと知っていたら、計画的に単語学習を進めることができます。根本的に単語学習にかける時間が足りないのです。

1時間に10個となると少ないように見えますが、この方法で覚えた英単語は定着率が100%近くになるため復習の必要がなく、結果的に単語学習にかける時間は圧倒的に短くなります。「最速英単語記憶法」と名付けた理由はここにあります。1時間に10個より多くの英単語を覚えようとすると、必ず定着率が下がり、学習効率はどんどん下がります。

一般的な英単語の覚え方だと、短時間でたくさん覚えることができますが、定着率が低く、同じ単語を何度も何度も繰り返し覚えなおす必要がありました。「覚えても忘れてしまう」という負のイメージがついて単語学習から遠ざかってしまいます。

1週間後の様子

「永田式英語」は、生徒さんにはかなりの衝撃だったようで、帰宅後すぐに実行してくれました。

予習の必要がなくなった

学校の教科書があまりに簡単に読めるので、学校の授業の予習の必要がなくなったとのこと。授業中に辞書を引きながら教科書を読んでいっても、学校の授業の進度よりはるかに速い速度で読めます。

ただし、それは高校の教科書のレベルが低すぎるからできることです。本来、高校生が取り組むべき英語はもっとレベルの高いものであるはずです。学校教育で永田式が取り入れられたならば、中学3年の段階で高2レベルの教科書は楽に読めるはずです。

小学生向けの洋書を読んでもらい、教科書の英語レベルがいかに低いかを納得してもらいました。予習の必要がないからといって英語の勉強時間を減らしすぎるのは好ましくありません。目標を高く掲げる必要があります。

とはいえ、今まで無駄に使っていた時間は大幅に節約できるので、他の教科に勉強時間を配分することができるようになります。工学部志望なので、英語ができても数学・物理ができなかったら無意味です。

読解力重視の指導

将来、英語の論文を大量に読み込む必要があるため、スピーキングよりもまずは読解力重視の指導を行います。日本人研究者の評価は低いですが、その原因の一つは英語力の低さにあります。英語の文献が読めなければまともな研究はできません。日本人が書いた論文が引用される機会が少ないのも当然のことです。

直読直解法について

よくよく詳しく話をきくと、永田式を始める前から、英語のまま読むことはできている状態でした。中学3年生の時に、向学館の英語の先生にトレーニングを受けて「直読直解法」ができていたとのこと。

しかし、無理やり英語のまま読んでいくという強引な方法で習得したため、英語のままスラスラ読めるようになったのは短い文のみでした。公立高校の入試問題はこれで対応できても、高校の教科書のレベルになると苦しくなってきます。本物の英語は一文が長いのが当たり前なので、この方法ではまったく通用しません。

ただし、この時のトレーニングのおかげて、語順のトレーニングを加えるだけでスムーズに完璧な直読直解法に移行することができました。

トレーニングを始めて習得するまでにかかった時間は、、、、、0分とのこと。読み方を変えたら、いきなり最初から英語のままスラスラ読めるようになったそうです。永田式英語では、「たった数時間のトレーニングで英語の長文が読めるようになる」と宣伝していますが、彼の場合は0分でした。

一般的な生徒さんだと、和訳の癖を抜くトレーニング、英単語を英語のまま理解するトレーニングをする要があるので0分というわけにはいかず、数時間は必要になります。さらに単語力が不足していれば、単語の習得に相応の時間が必要になります。

単語学習の様子

さっそくキクタンbasicを購入して始めたそうです。高校2年生としては単語力が高く、キクタンbasicの最初の方は知っている単語ばかりだったそうです。

一度に覚える単語量が少なかったので、そこだけ指導をしました。一日に覚えるべき単語は100~200個です。単語を覚えていくと数が減っていくので、どんどん補充していきます。

志望校に必要な単語の習得にはそれほど時間がかからない感じだったので、最難関大学レベルの英単語まで覚えてもらう予定です。

発音指導

1回の指導で、永田式英語の伝授はほぼ終わってしまい、独学で勉強できる体制ができたので、発音指導を丁寧にやりました。

まずは発音記号の読み方を覚えてもらいます。ある程度の知識はあったので、「ア」の音を正確に覚えてもらうだけです。

1週間の間、単語のCDをたくさんきいてくれていました。しかしよくよく聞くと、CDを聴きながらリピートしているだけで、発音記号を見ながらの音読はしていないので改善するように指示しました。正確な発音を覚えるには、CDを聞くだけでは不十分で、発音記号を見て自分の口で発音する必要があります。

耳コピだけで完璧な発音を習得できるのは先入観のない赤ちゃんだけです。私も発音は得意ですが、耳コピで覚えた部分が多いため、細かい部分で間違えて覚えています。生徒さんと一緒に単語帳の音読をすると、自分の間違いに気づくことが多々あります。

人間の耳には、「予測しながら聞く」という能力(=先入観)があるため、耳コピだけでは対応できません。カタカナ英語で予測しながら聞き、大事なところ(都合の悪いところ)は無意識のうちにスルーし、結局カタカナ英語で覚えてしまいます。

これを防ぐためには、CDに頼るのではなく、発音記号を見ながら音読をすることです。

学校での拡散

「永田式英語」はよほど衝撃的だったようで、クラスの皆に広めているそうです。このようなケースは初めてで、もしも、クラス全員が実行しはじめたら、、、、、とんでもない結果が出る可能性があります。

先生が黒板の前で文法解説をしながら教科書を読んでいる間に、生徒は全員、最後まで自力で読み切って、各自英単語を覚える。予習は必要ないし、教科書がスラスラ読めるので復習も教科書を何度か黙読するだけ。

さすがにこれだけで定期テストの点は上がりませんが、模試のクラス平均は英語だけ異常な上がり方をするかもしれません。

彼には、自分だけの秘密にして、自分だけ優位に立とうという考えは全くなかったようです。

総評

今まで指導した生徒さんの中では、かなり優秀な生徒さんでした。トレーニング時間0分で永田式直読直解法を習得した生徒さんは2人目です。

自習できる体制ができあがってしまったので、塾としては儲からないですが、彼は元々数学・物理の生徒さんなので、他にも教えるべきことがたくさんあります。数学・物理の勉強時間を確保するという当初の目的は達成できました。

専門的に英語を勉強したいという生徒さんなら、ライティング、スピーキングの指導に時間を使えるようになります。

今後、生徒さんからの要望があれば洋書のリーディングを行っていきます。