相対性理論入門(高校生ゼミ)

高校生ゼミにおいて、物理学科志望の高3生に特殊相対性理論の講義を行いました。

相対性理論を理解することは難しく、物理学科の学生でさえちゃんと理解している人は少数であると考えられます。私は受験生時代、予備校の自習室で、自力でローレンツ変換(特殊相対性理論の基本式)を導いたことがあるので、誰よりもわかりやすく相対性理論の本質を説明できる自信があります。

私は高校生の時、一般向けの相対性理論の解説書を何冊か読んだけれど納得できませんでした。ずっとモヤモヤしていましたが、高校で習った数学(行列・一次変換)をヒントに自力で変換式を導いて、ようやく特殊相対性理論の本質を知ることができました。その変換式の指し示す内容は、一般向けの相対性理論の解説書に書いてあるものとは全く別の次元のもので、我々の空間・時間に対する認識(世界観)を根底から覆すものでした。この世界観の差は、天動説と地動説の違いよりもはるかに大きな差です。私も、相対性理論の本質を知った時は、ハンマーで頭を殴られたくらいの衝撃でした。

相対性理論を大学の講義で習ったとしても、相対性理論を正しく理解できる可能性はかなり低いです。実際、私は大学の教養学部で相対性理論の授業を受けましたが、とても普通の大学生(東大生)が理解できる授業内容ではありませんでした。講義内容だけで理解するのは、私のような物理マニアでもたぶん無理です。

ということで、相対性理論を正しく学べる機会は滅多にないので、今回特殊相対性理論の特別講義を行いました。残念ながら、今の高校生は行列・一次変換を学校で習わないため、完全には理解できません。そこで、グラフを使って図で説明し、理論の根本的な部分を理解してもらいました。(あまりの世界観の違いにしばらく固まっていました。)

特殊相対性理論を一言で説明するなら、「二つの仮定(相対性原理・高速度不変の原理)から導き出される座標変換の方法」です。理論そのものは数学的に完結しているので、きれいに証明することができます。ただし、最初の二つの仮定(原理)が正しいかどうかを証明することは原理的にできないので、「特殊相対性理論が現実と完全に一致していることの証明」は不可能です。

両者を混同して、「相対性理論は間違っている」と主張する人もたまにいますが、理論そのもは数学的に証明できるため、理論が誤りということはあり得ません。現実と一致しているかどうかは別の問題です。

高校物理では、「理論の証明」と「現実との一致」の違いを扱うことがないため、この部分についてもしっかりと説明しておきました。数学でいうならば、公理と定理の関係に似ています。定理を証明することはできますが、公理を証明することはできません。

私がローレンツ変換を自力で導いた時代と違って、今はインターネットですぐに調べることができます。調べることはすぐにできますが、正しく理解するためにはやはり自力で計算して頑張るしかないでしょう。

もう少し時間があれば、行列・一次変換も勉強してもらって自力でローレンツ変換の変換式を導けるようにしてもらいたいところです。物理学科に進んで理論物理を学ぶならどちらも避けて通れません。