
前回のまとめ
- 頭の中にはメモ帳とノートがある
- メモ帳は「その日の活動に必要な記憶」→ここに覚えさせても翌日にはすべて忘れる
- ノートは「人生に必要なことを記録する場所」→ここに記録すると忘れない
- ノートに記録されてはじめて「単語を覚えた」と言える
- 単語を覚えなさいと言われると、ほとんどの人がメモ帳に覚えさせて終わり
- 「メモ帳に覚えさせて忘れる」の繰り返しは非効率
- メモ帳に覚えさせる条件は「集中力」
- ノートに記録させる条件は「反復回数」
- 単語を覚える速度【メモ帳】は1時間あたり20~50個程度。個人差がある。
- 反復回数に依存する→記憶力に個人差がない(回数をこなせば誰でも覚えられる)
- 単語を覚える速度【ノート】は1時間あたり10個。
- 1時間に10個→1日3時間×30日だと900個。短期間で大量の単語を覚えることが可能。
- 見る、聞く、読む、書くをバランスよく!
今回の記事では、英単語がなかなか覚えられない理由をリストアップしてみました。
1)悩みながら覚えている
負けず嫌いな生徒さん、理系の生徒さんによくあるパターンですが、意味を思い出すまで悩む癖がついている人はなかなか英単語が覚えられません。 英単語を見たときに、すぐに意味が出てくるようにトレーニングします。
英単語を見て悩む癖がついていると、「悩む」回路が強化されてしまいます。単語を繰り返す回数よりも悩む回数の方が多くなるためです。思い出そうと悩んだ挙句、意味が出てきません。長文を読んでいるときにも「これなんだっけ回路」が発動してしまい、長文がまともに読み進められません。
悩んでいると、悩んでいる時間が無駄になり効率が落ちます。脳にも負荷がかかるため、学習意欲も低下します。単語学習を続けるには、できるだけストレスを排除するのが成功率を上げるポイントになります。
数学は悩んで考えたほうが伸びますが、英単語は悩んではいけません。1秒以内に意味が出てくるようにトレーニングしましょう。
2)無理に意味を覚えようとしている
「1秒以内に意味が出てくるようにトレーニングする」と言ったばかりですが、意識的に意味(日本語)を覚えようとしてはいけません。
日本語の言葉を覚えるとき、「言葉は覚えたけど意味は覚えていない」という状態はかなり稀です。基本的には、言葉を覚えたら意味はあとからついてきます。意味を覚えることに集中するのではなく、言葉そのものを覚えることに集中します。
無理に日本語訳を覚えようとすると、 日本語だけ頭に残って肝心の英単語が頭に残らないという状態になります。自覚症状がないので本人は気づかず、「なかなか覚えられない」という感覚だけが残ります。単語帳の場所で覚えてしまう原因にもなります。
英単語を覚える時は意味を覚えようとしないで、英単語の「読み方」「スペル」をしっかりと覚えます。意味は後からついてきます。
3)音声教材を使っていない
英単語を覚えるということは、発音やスペルを覚えるということです。発音を覚えるためには耳からインプットするのが一番お手軽です。単語帳附属のCDを活用し、最低10回以上は聞きましょう。
余裕がある時は単語帳を見ながら聞きますが、食事をしながらとか、他の作業をしながでもかまいません。学習しやすいように、各自の生活スタイルに合わせます。通学・通勤時間を使うのが一番効率的です。
4)単語の音読をしていない
発音を覚えるためには、音声CDを聞くだけでは不十分です。知らない単語は脳がスルーしてしまいます。これを防ぐためにも、発音記号を確認しながら丁寧に音読をするようにします。音読は何度もやる必要はありません。
発音記号が読めないとうまく読めませんので、発音記号は覚えてください。一度に全部覚えようとすると大変なので、まずはアの音(4種類)を区別できるようにします。アの音だけだったらすぐに覚えられます。
人間の脳には、聞こえなかった音を補完する能力があります。コミュニケーションを取るうえで非常に便利なのですが、英語を習得する時には邪魔になります。耳だけに頼ると、間違った発音で覚えていることがよくあります。
音読した後だと、CDを聞いたときにしっかりと音が入るようになります。
5)メモ帳とノートを区別していない
ある単語を覚えたとして、その単語がメモ帳に覚えたものか、ノートに記録されたものかを区別しないと無駄な作業をすることになります。翌日まで覚えていたものは「ノートに記録されたもの」なので覚える必要はないし、「ノートに記録されていないもの」は徹底的にやる必要があります。
単語帳で英単語を覚える場合、単語帳は「ノートに記録されているかどうかのチェック」のみに使います。その日の単語学習の最初に単語帳を使ってチェックし、覚えていない単語を紙やノートにリストアップ(英語-日本語)してそこで暗記作業に入ります。ここでの暗記は、メモ帳に記録する作業になります。
単語帳はチェックのみに使うので、ほぼ新品同様のまま1冊分の英単語を覚えきることができます。手垢がつくこともありません。
リストアップした単語は、日本語を見て英単語が正確に書けるようにトレーニングをします。スペルを正確に覚えることが目的ではなく、「意味を覚えようとしてしまう」ということから意識を逸らす目的もあります。
チェックしてスペルが正確に書けなかった英単語を10回ずつ書くようにします。10回ずつ書いたらもう一度チェックの繰り返し。この時、「頭の中で日本語を繰り返しつつ、英単語をひたすら書く」ということをしないように注意しましょう。苦しいだけで英単語が頭に入りません。
6)単語帳を何周もする
メモ帳とノートの区別をしっかりやっていれば、単語帳を一周するだけで、ほぼ全部の単語を覚えられます。何周もしなければいけないということは、やり方がおかしかったと考えましょう。
実際、指導している生徒さんが「忘れているから復習する」と言って復習を始めることはよくありますが、実際にやってみるとほとんどの英単語を覚えているので皆驚きます。
どうしても復習がしたい場合は、数か月に1回、CDを1周聞く程度で十分です。
単語帳は新品同様のまま覚えきるのが理想です。単語帳を使って単語を覚えることはデメリットが多くあり、できるだけ短期間で終わらせる必要があります。
単語帳を終えたら、長文を読み込むなどして実際に使えるようにします。単語力が上がっているので長文を読むのはかなり楽になっているはずです。この時、知っている単語でも違和感を感じたらすぐに辞書を引くようにしてください。意味が違っていたり、似たような単語を勘違いしている覚えている可能性がかなりあります。
速読英単語なら長文の中で用法を確認できるのでお勧めです。塾では、キクタン(英単語の詰め込み)、EG3000・EG4500(例文暗唱専用の単語帳)、速読英単語(長文の中での実践)の3種類の単語帳を使っています。
↓前回記事