当塾では、考える力を育てる方法として、「とにかく悩んでもらう」ということをやってもらっています。よく保護者の方から、「わからない問題は教えてもらえるのですか?」という質問をされますが、できるだけ自分で解決する方向へ誘導しています。

答えが出せず、悩んでいた時間は無駄に思えるかもしれませんが、実はそうではありません。「限界まで考えた」という刺激は脳へ伝わり、寝ている間に神経回路が組み替えられます。

例えばピアノの練習をする時、うまく演奏できない箇所を繰り返し繰り返し練習しても、その場ではなかなかうまく弾けません。しかし、翌日弾いてみるとあっさり弾けるといったことはよくあります。

ピアノの指導が上手な先生はこのことをよく理解しているので、「できないから」という理由だけでは怒ったりはしません。できないなら、ただ繰り返し練習させるだけです。ちゃんと練習してきたかどうかは演奏を見ればすぐにわかります。練習不足の場合、脳の神経回路が組み変わっていないのでぎこちない演奏しかできません。その場で取り繕ってもすぐにわかります。

数学力を限界まで引き上げようとするならば、脳の神経回路が組み変わるまで悩み続ける必要があります。その場ではすぐに成果がでないので苦しい作業になりますが、翌日解けた時の爽快感は一度体験すると癖になります。そして、今まで難しいと思っていた問題が、「こんなに簡単だったの?」と思えるようになります。

この経験を積み上げていくと、「悩めば翌日には解決できる」という自信にもなります。そして、1カ月後にはかなりの思考力がつき、粘り強さ、忍耐強さも出てきます。そして驚くことに、話し方も変わってきます。「ちょっと頭のよい人たちの話し方」へと変化していきます。

難しい問題に出会った時、すぐに答えを見てしまったらこの貴重な経験はできません。すぐに先生に教えてもらっても同じことです。

数学の場合、わかりやすい解説をする授業がいいとは限りません。授業内容がわかりやすければわかりやすいほど、自分の頭を使う必要がなくなってしまうからです。

残念ながら、今の学校教育は正反対の方向へ向いています。小学校では、教えられていないことを答えると「習っていない」という理由だけで不正解になります。自分の考えで正解にたどり着いたとしても、教えたやり方と違うからという理由で不正解にされてしまいます。

これは、学校から生徒への「考えるな」というメッセージになります。こういう教育を受けた生徒さんは、考える力はどんどん衰えていきます。

「考え方を覚えさせる」という授業もよく行われています。一見すると、考える力がつきそうですが、他人の考え方を真似しているだけでは本当の意味での思考力はつきません。自分自身で悩んでいないので、脳の中の「考えるための回路」が発達しません。

考える力をつけるためには、「自分の実力より少しレベルの高い問題」に取り組んでひたすら悩むのが効率的です。考えれば考えるほど、「考えるための回路」が強化されていきます。

一般的な塾でやられているように、解き方を教えてもらってたくさん問題を解いた方が効率的に思うかもしれませんが、実際にはそんなことはありません。他塾の生徒さんが解き方を教えてもらっている間に、私の塾の生徒さん達は自力で何問も先まで解いていきます。

当塾では、宿題をあまり出していないのにもかかわらず、他塾より演習量が多くなっています。一問一問をじっくり解くことで思考力、計算力がつき、短時間で多くのの問題を解くことができるようになるからです。

Follow me!